診療科紹介
消化器内科
当院では消化管、胆道、膵臓、肝臓と4つの専門分野の全てを担当し、患者視点と最先端医療の両立をめざしています。
いち早くESD技術のほか、近年注目されている低侵襲の内視鏡や、小腸の病気を観察・治療する服用型のカプセル内視鏡とバルン小腸内視鏡を導入しました。また、信州大学を拠点病院とした長野県肝疾患に関するネットワークの専門医療機関の登録を受け、信州大学の研究にも参加しています。必要な患者さんにはC型肝炎に対するインターフェロン治療効果予測のためのIL28B遺伝子変異や、プロテアーゼ阻害薬やNS5A阻害薬の耐性変異を調べ、新薬による治療も安心して受けられる環境を提供しています。
ほかにも、ラジオ波焼灼療法やカテーテル治療を中心とした肝臓がんに対する治療にも力を入れ、ラジオ波焼灼療法では超音波造影剤やCT・MRI・超音波といったボリュームデータから探触子と同一方向のMPR像(バーチャル画像)をリアルタイムに描出する機能があるreal-tymeVirtual Sonographyを積極的に使用し、高い安全性と治療の質を追求しています。
循環器内科
県内でもいち早く心臓カテーテルを開始し、最先端医療を提供しながら、患者さんにとっても安心・安全な治療ノウハウを着実に積み重ねてきました。県内有数の冠動脈血管内治療(PCI)の実績に傲ることなく、カテーテルで世界的に有名な医師や、足の血管の拡張術における著名な医師といった日本各地で活躍するドクターを招き、技術や知識の習得に努めています。カテーテル治療のなかでも冠動脈分岐部や血管内の石灰化や、血管が完全に閉塞した状態など、より複雑な病変にも対応できます。
また、心筋梗塞などの緊急性の高い症例が多いことから、地域の医療機関との緊密なネットワークづくりが要求されるため、多くの紹介患者さんを受け入れ、信頼関係を築いています。また、連携している開業医等に呼びかけて定期的に勉強会や講演会を開催し、当院での症例について紹介することで知識の共有とお互いのレベルアップを図っています。
呼吸器内科
1964年の設立当時としては画期的な喘息治療のアレルギー体質の改善対策を取り入れるなど、長きにわたって呼吸器疾患に取り組んできました。現在、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や睡眠時無呼吸症候群など、より幅広い呼吸器疾患への対応を行い、医師による的確な診断はもとより、看護師による患者さん教育をはじめ、治癒に向けてきめ細かな活動を展開しています。
当院には呼吸に精通したスペシャリストを集めた「呼吸サポートチーム」が活動しています。対象となるのは、人工呼吸器を装着していたり、マスクで呼吸を補助しているなど、呼吸に何らかの問題を抱える患者さんです。週1回はチーム全員で院内を回診し、各科の呼吸ケアの差をなくし、一定の高い水準に保つように努めています。
糖尿病・内分泌・腎臓内科
糖尿病の専門外来ができたのは昭和40年代頃です。特に重視していることは、患者さんの初期教育です。糖尿病治療には投薬や食事制限、運動指導などが中心となりますが、患者さんの暮らしや生活習慣との結び付きが非常に強いため、まず必要なのは患者さんの意識を変えるための教育だからです。当院では1泊2日という短期での教育入院を導入し、働き盛りの患者さんにも配慮しています。
糖尿病の合併症のひとつである腎症の血液透析については昭和63年にスタートし、現在では「血液浄化療法センター」としてベッド数50床を設置しています。糖尿病は大変奥が深く、やっかいな病気のひとつと言われていて、症状も治療法も千差万別に存在します。患者さんの気持ちに寄り添い、必要とする医療を見極めて確実に提供し、患者さんの健康寿命を延ばしていくことを大切に診療しています。
リハビリテーション科
地域住民や組合員さんの声をもとに誕生したリハビリテーション科では、急性期疾患の治療を受けた患者さんのリハビリや神経疾患、整形疾患のリハビリなど多彩な要望に応えています。当院ではオリジナルの『らくらく手すり』を開発し、障害を持った患者さんが車いすやポータブルトイレに移乗する動作が安全にできるようにしました。現在は『スーパーらくらく手すり』も開発し、リハビリ病棟や老健ふるさとのベッドに当院オリジナルの手すりを配置し、立ち上がり訓練を行えるようにしています。また、患者さんひとり一人に合ったリハビリの実現のため、週に一度の総回診とリハビリカンファレンスを実施し、患者さんの全体像の把握と治療の方向性や課題を見極める機会にしています。
外科
外科チームが目指すものは『 安心で、患者さんにやさしい治療 』です。患者さん、ご家族と解決するべき問題に向き合い、ひとりひとりの患者さんにしっかり寄り添いながら切れ目のない連続した医療を行いたい、いつも「 あなたと ともに 長野中央病院 」でありたいと考えています。
また、チーム医療を実現するために、つねに情報をオープンにし、風通しの良い環境をつくりあげています。毎週月曜に開催される会議の場「 ザ・カンファレンス 」は、手術編と病棟編の二部構成。手術編では、その週の手術内容について全員で激論を交わします。病棟編では、入院患者さんについて様々な問題や課題を話し合います。外科医師が全員参加し、麻酔科医、看護師、薬剤師、栄養士、リハビリスタッフ、検査技師、ケースワーカーそして訪問看護スタッフなど出席メンバーも多彩です。多角的な視野による情報の共有化は、当院における誇らしい伝統のひとつであり、患者さんのからだにやさしい、真の低侵襲を考える当院の挑戦はこれからも続きます。
整形外科
整形外科はサブスペシャリティの異なる4名体制で診療しています。担当となった医師が患者さんを総合的に診察し、症状をしっかりと診ていくことになりますが、長い期間診察している患者さんも多く、どういう生活をして何を求めているのかということまで理解して、治療にあたっています。
保存的な治療を大切にしながらも、生活が困難なほどの機能障害が手術によって改善されることが期待できる場合は、各部位への手術的なアプローチも検討します。2016年度の手術症例数は412症例。適切な治療を選択するには高度な専門的知識が求められる中、それぞれの得意分野を活かしながら切磋琢磨しています。手術を行う場合、担当医の枠を超えて専門性を持つほかの医師と協力するケースも多くあり、オールマイティに診療を行いながら整形外科全体のレベルアップを目指しています。
心臓血管外科
当院では患者さんの症状により、心臓カテーテル治療か、心臓血管外科手術かを速やかに選択・対応するために心臓病センターを開設しています。
心臓血管外科では1997年の開設以来、人工心肺を使用しないオフポンプバイパス術、人工血管を大動脈瘤内に留置するステントグラフト内挿術などを導入し、手術の低侵襲化、入院期間の短縮化に努めてきました。心臓の手術にあたって大切なことは、患者さんにとって安全な治療を行うことです。患者さんの負担を考慮し、専門医が治療行為に専念するのはもちろんのこと、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師、診療放射線技師などが一丸となって、患者さんにやさしい医療をめざしています。
心臓血管外科の多くの患者さんたちは、退院するとき心不全や狭心痛などの胸の苦しさから解放されて、笑顔で自宅に帰っていかれます。これは、心臓血管外科が機能回復、機能再建の外科と呼ばれる所以でもありますが、患者さんの笑顔が私たちのやりがいです。
緩和ケア科
2017年7月1日、当院の2階西病棟に「緩和ケア病棟」が誕生しました。緩和ケア病棟は『患者さんが病気を持ちながらもその人らしく生きられること』を目指す、新たなスタートラインです。
患者さんの生活の維持・向上のためには、がんと診断された早期から様々な場面で、切れ目なく緩和ケアを受けられることが大切です。病気そのものによる痛みや呼吸苦、食欲不振といった身体的な症状の他に、今後の見通しに対する不安などの精神的な苦痛、仕事のことや経済的な不安などの社会的な苦痛、時には、今ここで生きていることの意味を見いだせないような苦痛を味わうこともあります。当院では、抗がん治療と緩和ケア、2つの治療は常に同時に行われているべきものとして、様々な専門職がひとりひとりの患者さんに向き合います。
今後の目標は、当院の医療全体が緩和ケアの視点を持ったものになっていくことです。患者さんが自分らしく頑張れるように、医師やスタッフの視線はいつも患者さんへ、そして可能性ある未来へ向かっています。