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
高齢者に多発する骨折は加齢によって増加する
骨粗しょう症って何?
骨そのものがもろくなり骨折しやすくなった状態が骨粗しょう症です。高齢者の骨折の原因のひとつに「骨粗しょう症」があるとされていました。しかし、10年ほど前から「弱い力で骨折した人=骨粗しょう症」と考えられるようになり、骨折後は「骨粗しょう症」の治療も並行して行うようになりました。日本での骨粗しょう症の患者数は約1,280万人と推計されており、その多くは女性です。特に閉経に伴う女性ホルモンの減少や加齢によるものが原因とされています。そのほかに食生活の乱れや運動不足だけでなく、他の病気や投薬の影響、もともと骨が弱いという場合もあります。骨の形成は20歳ごろまでなので、それを越えてから骨を強化することは困難です。若いうちから骨が弱くならないようにバランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。10代のうちの無理なダイエットは骨がもろくなりやすいため注意が必要です。

高齢者に多い3つの骨折
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治 療骨折そのものによる障害に加え、様々な合併症を引き起こす可能性も高いため、骨折後は早めの対処が必要です。骨がどのように折れて、どのようにズレているかをレントゲンなどで確認 し、治療法を判断します。骨折を放置しておくと寝たきりになってしまう恐れがあるため患者さんの多くは手術が必要となります。手術は金属などの器具を使用して骨を固定する「骨接合術」または、大腿骨頭を切除して人工骨頭等に置き換える「人工関節置換術」を骨折部位や状況により適用します。術後は早急にリハビリを開始し、可能な限り骨折部位だけでなく、体全体を動かす必要があります。
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治 療骨折の程度が軽微であればギプスによる保存的治療が可能ですが、骨折部のずれが大きい場合や、関節内にも及んでいる場合など日常生活に支障が出ることが予想される場合は、手術治療をおすすめしています。手術後は早急にリハビリを開始します。退院後も反対の手と同じ程度に動かせて、今までできていたことができるまでリハビリを行ってもらいます。 骨折の治療では機能回復を重視した診療を心がけています。
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整形外科では、超高齢者の外傷や運動疾患の増加に対応するために医師の専門性を生かした医療を展開しています。患者さん一人ひとりの高いQOL(生活の質)獲得に力を入れています。
高齢者の骨折についてインタビュー
高齢者の骨折対策は
骨粗しょう症の予防から
繰り返される骨折 治療と予防が大切
骨粗しょう症によって一度骨折した方は骨粗しょう症の治療も行わないと何度も骨折を繰り返します。骨粗しょう症の患者さんは骨がもろいため自宅内で尻もちをついただけでも骨折していたということもあります。骨折を繰り返さないために薬物療法や食事療法などの骨粗しょう症の治療が必要です。また、転倒予防のため筋力をつけることや、転びにくい環境を作ることも大切です。骨密度は一度減ると増やすことは困難です。今以上に減らさないために日々の生活から転んでも折れにくい骨を保つことが重要です。適度な運動、カルシウムやたんぱく質を意識した食生活、ビタミンDを生成するために日光にあたるといったことが骨の質を維持するために有効です。
骨折後は速やかに治療を行い リハビリで機能回復を目指す
高齢者の骨折は手術やリハビリをしても1年後に骨折前と同じように動ける人は、およそ半数以下です。特に70代から増加する大腿骨近位部骨折においては、術後に合併症を引き起こし、死亡のリスクが増加したり、術後の身体機能が著しく低下することから48時間以内の手術が推奨されています。そのために当院では、多職種連携を強化したガイドラインとマニュアルを作成し、患者さんのADL(日常生活動作)低下を防ぐために早期に手術を行うように努めています。そして術後は速やかにリハビリを開始し、患者さんには骨折前と同じような日常が過ごせることを目標にリハビリに励んでいただいています。手術とリハビリを経て歩行機能が改善するには数カ月かかりますが、その期間で私たち医師ができることは、手術の傷の具合をみること、骨粗しょう症の治療を行うことです。骨折は一朝一夕で治るものではないので、あくまで「患者さんご自身がご自身を治す」という意識を持って取り組んでいただくことが大切です。患者さんが骨折によって生活の質を落とすことなく日常を取り戻すためにさまざまなサポートをしています。
健康寿命を長くするために 骨密度検査を普及させたい
高齢者は骨折が原因で寝たきりや要介護になってしまう恐れも出てきます。骨折は健康寿命を短くする大きな要因です。今後は受診率の低い「骨密度検査」の普及につとめ、予防対策に今以上に取り組んでいきたいです。また、小児科と連携をとり、骨を形成する20歳までに骨質のピークを上げるためのサポートもしていきたいと思っています。
50歳以降は定期的に骨密度検査を
骨の密度を測る「骨密度検査」は骨の健康を知る上で重要な検査です。特に女性は閉経すると加齢につれて骨粗しょう症となる可能性が高くなるため、症状がなくても50歳以降は定期的に検査を受けることをおすすめします。
当院でも健康診断のオプションで検査することができます。
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整形外科
救急部副部長
後田 圭 医師
日々勉強
薬や治療法など、新しい情報を逃さないよう勉強しています。
食べること
今はコロナ禍で難しいですが、会話をしながら楽しく、しっかり食べることが大切だと思っています。
my favorite
諏訪の「オルゴール美術館」で優しいオルゴールの音色に癒され、自分だけのオルゴールを買いました。家でひと息ついた時に聴いてホッとしています。また、月に1〜2回は図書館へ行って色々なジャンルの本を読み漁ることも好きです。
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