主な検査の説明
主な検査の説明
CT検査
CT検査とは
CT(Computed Tomography)検査はX線を利用して、身体を透過したX線の量をデータとして集めて、コンピュータで処理することによって、身体の断面画像を得る検査です。 現在多くの施設で実用化されている装置はマルチスライスCTと呼ばれ、短時間で広範囲を細かく撮影することができます。それにより立体的な画像(3D画像)も容易にできるようになりました。 また、病変を詳しく調べるために腕の静脈からヨード造影剤という薬を注射しながら撮影をすることがあります。
検査時間
通常(造影剤を使用しない)の検査は5~10分です。造影剤を使用する検査は20~30分です。
撮影の際の息止めは5~10秒前後です。撮影回数は検査によって異なります。
検査を受けられる方へ
(注意事項)
- 腹部の検査や造影検査では検査の4時間前より食事をとらないでいただいています。
- 水分の制限はありません。
- 常用薬は普段通り飲んでいただきます。
- 腹部の検査では検査の30分前よりおしっこをしないでいただきます。
- 検査部位にある金属製のものやカイロなど撮影の障害になるものは外していただきます。
- 除細動器を装着している方、妊娠または妊娠している可能性のある方、過去にヨード造影剤に対する過敏症(吐き気、かゆみなど)があった方は事前に職員にお申し出ください。
- 造影剤を使用する場合は、問診同意書の記入にご協力いただきます。
検査中
検査を始める前に検査内容に合わせて担当者が説明しますのでその指示に従ってください。
検査中は検査用のベッドに横になり、撮影の合図とともにベッドが移動します。
検査が終わるまでは動かないようにしてください。
息止めが必要な場合は装置より合図が流れますので、それに合わせて息止めを行って下さい。
検査中はマイクを通して診療放射線技師と話ができます。
ヨード造影剤を使う検査ではその場で注射して準備を行います。
造影剤とは
CT検査では水溶性ヨード造影剤が用いられます。
通常腕の静脈より投与され、血管を介して全身の臓器へと分布します。
この分布により病気や各臓器の血流状態や血管の情報を得ることができます。
造影剤を使用しなくても検査は実施できますが、病気の存在が分かりにくく正確な診断ができないことがあります。
造影剤を使うことで血管の流れや病気、臓器の状態をわかりやすくすることができます。
一方、ヨード造影剤が投与されると体内はバランスを保とうとするはたらきが作用し、どなたにも熱感や疼痛が起こります。
また、安全な薬ですが使用後にまれに副作用が生じることがあり、使用後すぐに発生する場合と、数時間から数日経ってから発生する場合があります。
副作用の種類は、軽度なものは吐き気・かゆみ・発疹・動悸、重度なものは呼吸困難・血圧低下・意識障害などがあります。 仮に副作用や合併症が生じた場合は、医師や看護師が直ちに適切な処置を行います。 少しでも異常を感じた場合は遠慮なく担当者へお知らせください。また数日後に発生した場合でも適切な治療を行いますので当院にご連絡ください。
頭部領域
頭蓋内の状態がわかります。出血、梗塞、腫瘍などの状態がわかります。
胸部領域
肺の状態がよくわかります。心臓や大動脈の状態もわかります。
腹部領域
肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、大腸などの状態がわかります。 造影剤を使用することで、さらに詳しく病気の状態がわかります。
整形領域
肩から手指までの上肢、股関節から足趾までの下肢、首から腰までの椎体と骨の状態がわかります。 輪切りの画像に加え、正面や横から見た画像、また3次元画像も作成することができます。これにより立体的に対象部位を捉えることができ、骨折・脱臼や関節面の様子を詳細に観察することができます。手術計画や外傷診断に有効な検査です。
心血管領域
造影剤を使用することで血管の状態がよくわかります。頭部から大動脈、下肢の血管の状態がわかります。血管を立体的に観察することが可能となり、診断や手術に役立てることができます。
心臓(冠動脈)CT
心臓に酸素や栄養を送る冠動脈と呼ばれる血管の状態や心臓の全体像がわかります。冠動脈が細くなり、心臓に十分な酸素が送れなくなることによっておこる狭心症や心筋梗塞などを早期発見することが可能です。 造影剤を静脈から注入し、数秒の息止めをするだけで撮影は終了します。身体への負担が少ない検査で、入院の必要もありません。
大腸CT
炭酸ガスをおしりから注入して大腸を膨らませ、仰向けとうつ伏せで2回撮影を行います。その後、撮影した画像をもとに3次元画像を作成して診断する検査です。前日から検査食や下剤を服用してもらいます。当日の検査は20分程度で終わります。
MRI検査
MRI検査とは
MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査は、磁石と電波を用いて検査しています。装置の特性から、強い磁石による金属の吸引・磁場の変動による神経刺激・電波による発熱(やけど)への注意が必要です。また、非常に動きに弱い検査となっています。
検査時間
撮像部位によって異なりますが、通常30分~1時間程度の検査です。
検査を受けられる方へ
(注意事項)
問診について
問診同意書の記入にご協力いただきます。
以下に該当するものがある方は、事前にお申し出ください。
- 検査不可・・・MRI対応でないペースメーカー(※)、体内式除細動器、人工内耳
※MRI対応のペースメーカーであっても、頭部以外のMRI検査は当院では行いません。
- 素材によって検査不可・要調整・・・手術元への確認が必要となる場合があります。
脳動脈瘤クリップ、脳室シャント、ステント(冠動脈・大動脈・胆管など)、義眼、 心臓人工弁、外科用クリップ、子宮内避妊具、整形外科用ネジ・プレート、 人工関節・骨頭、シーネ・ワイヤー
- 体内金属異物・・・部位と種類によっては安全に検査できないことがあります。
怪我、溶鉄業、花火職人等による金属片など
- 体表・・・火傷や皮膚の変色のおそれがあります。
刺青、取り外し出来ないピアス
- 妊娠中・・・原則検査を行いません。主治医とご相談下さい。
着替えについて
検査当日は、専用の検査着へ着替えていただきます。 金属・チャック・ボタンのある洋服は着替えが必要です。 携帯電話、スマートフォン、時計、補聴器、磁気カード類は検査室へ持ち込むと故障やデータ消去の恐れがあります。 また、これらの物によって画像が歪む原因となることがありますので、持ち物はロッカーに入れていただき、検査室へは持ち込まないようご協力ください。
認知症の検査も行っています。
認知症検査(VSRAD)では、撮影した画像を用いて、ソフトを使った解析で脳萎縮の程度を数値化することや、萎縮の強い領域をカラーで確認することも可能です。
マンモグラフィ検査
マンモグラフィ検査とは
マンモグラフィは、乳房を2枚の板に挟んで圧迫し、乳房X線撮影を行う検査です。 少ない放射線量で、乳腺や病変をはっきりと写し出すために圧迫して撮影を行います。個人差はありますが、圧迫による痛みを伴います。
検査内容によって撮影方法が異なる場合がありますがMLO(内外斜位撮影)・CC(頭尾撮影)撮影が一般に行われています。MLOは乳腺全体を描出するのに優れ、MLOで写しにくい部分をCC撮影で補っています。
CC
MLO
検査時間
通常、着替え~撮影合わせて10分程度、3Dマンモグラフィは20分程度の検査です。 圧迫している時間は1回の撮影で通常10秒程度、3Dマンモグラフィは30秒程度となります。
検査を受けられる方へ
(注意事項)
次の項目に該当する方は検査を受けられない場合がありますので検査前に必ずお申し出ください。 主治医の判断により撮影する場合もあります。
- 妊娠中の方、妊娠の可能性のある方
- 心臓ペースメーカーを挿入している方
- 植え込み型除細動器(ICD) を挿入している方
- V-Pシャント術(頭部) を挿入している方
- 豊胸手術を受けた方
- その他、胸部手術(心臓・肺等)を受けた方
- その他注意していただきたいこと
- 制汗スプレーやパウダーは病気のように写る場合があるため、事前に拭き取ります。
- ネックレス、眼鏡は破損の可能性があるため、検査前に外します。
- 頭髪が長い方は、機械に挟まる可能性があるため、まとめます。
トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)とは
トモシンセシスはTomography(断層)とSynthesis(合成)で作られた造語です。
通常マンモグラフィは立体的な解剖学情報を二次元表示しています。その問題点を解消すべくトモシンセシスは作られました。
高濃度乳房(デンスブレスト)の場合は、乳腺組織も腫瘤も真っ白に写ってしまうため、正確な診断ができない場合があります。X線管を回転させ、断層撮影することにより、高い空間的分解能で診断における感度と特異度を向上させ、高い診断能力を発揮します。1mm厚の写真で表示され、日本人に多いとされている高濃度乳房にも有効です。短所としては、使用する放射線量が増える点があります。また圧迫する時間が従来のマンモグラフィより長くなります。
FAQ
乳がんの発症率はどのくらいですか?
日本人女性の11人に1人が乳がんに罹ると言われています。日本人女性が罹るがんの1位が乳がんで、発症は20代から認められ最も多いのが40~60代です。 日本では年間80,000人が乳がんに罹り、死亡者数も年間13,000人を超え、増加の一途をたどっています。
乳がんに罹りやすい人はいますか?
遺伝的なものと環境的なものがあります。
乳がんの危険因子には以下のようなものが報告されています。
あてはまる人が必ずがんになるというものではありませんが、罹る可能性が高いことを自覚しましょう。
- 閉経後肥満の方
- 授乳経験ない方
- 初産年齢が高い方
- 未産の方
- 閉経後ホルモン補充療法を行っている方
- 乳がんの家族歴がある方
- 良性乳腺疾患の既往のある方
早期発見するためには何をすればいいですか?
自己検診と定期検診を行いましょう。
自己検診とは月に1回程度のセルフチェックのことです。自分で触診を行い、しこりや分泌物がないか確認します。定期検診は医療機関での画像検査を含めた検診のことで2年に1回の実施が推奨されています。症状がある方は検診ではなく、すぐに病院へ行きましょう。また、検診は1度受ければ良いというものではありませんので継続して行うことが大切です。
高濃度乳房(デンスブレスト)って何ですか?
乳房内の乳腺と脂肪の量によって、【脂肪性】【乳腺散在】【不均一高濃度】【極めて高濃度】の4段階で評価し、乳腺内の病気の見つけやすさの参考としています。【不均一高濃度】【極めて高濃度】を合わせて高濃度乳房と呼びます。個人の体質のようなものですから過剰に心配する必要はありませんが、乳腺の量が多いため乳腺疾患が非常に見つけにくいことやわずかに乳がんの発生リスクが上がると言われています。
参考資料
- 日本乳癌検診学会ガイドライン・国立がん研究センターがん対策情報センターHP
- 認定NPO法人乳房健康研究会HP・社団法人日本家族計画協会資料
上部内視鏡検査(胃カメラ)
上部内視鏡検査は、内視鏡を食道・胃・十二指腸に挿入して内部を観察することで、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道がん、胃がんなどの病気を発見するための検査です。
検査の前に胃の中をきれいにする薬を飲んでから、苦痛を和らげるためにのどに麻酔をします。検査は、口から直径1cmくらいの内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸を観察します。必要に応じて、病変の一部を採取(生検)して組織検査を行います。また、出血している病変があった場合は止血処置を行います。詳しく観察ができるように胃の動きを抑える注射を行うことがあります。緑内障、狭心症、前立腺肥大症のある方は、薬の副作用が出やすいためあらかじめお申し出ください。
下部内視鏡検査(大腸カメラ)
下部内視鏡検査は、内視鏡を大腸に挿入して、大腸ポリープ、大腸がんなどの病気を発見するための検査です。
検査前日(毎日排便のない場合はそれ以前)から下剤を服用し、当日は朝から前処置(腸管洗浄剤服用)を行い大腸の中をきれいにします。腸の中がきれいになったことを確認してから検査になります。検査時は、ゼリーで滑りやすくした状態で肛門から内視鏡を挿入します。途中で体の向きを変えたり、お腹を圧迫することがあります。必要に応じて、病変の一部を採取(生検)して組織検査を行います。また、出血している病変があった場合は止血処置を行います。詳しく観察ができるように腸の動きを抑える注射を行うことがあります。緑内障、狭心症、前立腺肥大症のある方は、薬の副作用が出やすいためあらかじめお申し出ください。
内視鏡的逆行性
胆管膵管造影(ERCP)
内視鏡を使用して胆管や膵管などの詳細な観察を行い、検査や治療を行う手段です。 内視鏡を食道、胃、十二指腸に進め、そこから膵臓や胆道へアクセスし、X線を使用して管の中を直接観察します。 膵臓や胆道にがんが疑われる場合は、内視鏡で患部の一部を採取して、細胞の検査を行うこともできます。 また、がんにより胆道が圧迫されて黄疸や肝障害をきたしている場合は、ステントを挿入することで圧迫を緩和し、患者さんのデータや全身状態を改善させます。検査や処置は比較的短時間で完了し、状態が良ければ翌日から食事が可能です。
超音波内視鏡検査(EUS)
胃カメラの先端に超音波診断装置が備わった内視鏡を用い体の中から超音波検査を行う検査です。体の表面からでは検査が困難な膵臓や胆のう等を詳しく調べることができます。がんが疑われる場合には、病変部の生検を行い細胞の検査を行うこともあります。
心臓カテーテル検査
心臓カテーテル検査
手首または足の付け根の血管から、カテーテルと呼ばれる直径2~3mmの細い管を血管内に通して心臓まで進めます。造影剤を注入して、冠動脈の病変部や心臓の状態をX線撮影します。大動脈や下肢動脈の撮影をする場合もあります。心臓の各部の圧力の測定、電気興奮の記録を行います。
検査時間
30分~1時間程度(PTSMA:経皮的中隔心筋焼灼術)は3時間程度
※検査後、必要に応じて治療に移り、病変の症状や治療箇所などにより時間が前後することがあります。
検査を受けられる方へ
(注意事項)
- 入れ歯、指輪、ピアス、時計、かつら、ヘアピン、補聴器等は外していただきます。マニュキュアは落として来院してください。お化粧も検査の前には落としてください。
- 検査・治療後は出血しやすいため、カテーテル挿入部を圧迫固定させていただきます。
手首からの場合
治療後すぐに歩行はできますが、手首をついたり、重い荷物を持ったりすると、出血や内出血、腫れたりする恐れがあるため、なるべく手に負担をかけないでください。必要に応じ尿管を入れることがあります。
足の付け根からの場合
翌朝までベッド上で過ごしていただきます。歩行はできません。
鼠径部の剃毛をします。トイレに行くことができないため、尿管を入れます。
- 内服薬等については医師の指示に従ってください。
経食道心超音波検査
経食道心超音波検査は、胃カメラのような直径1cm程度の超音波プローブ(管)を口から入れ、食道から心臓を観察する検査です。通常の心エコー検査に比べ、肺や骨に邪魔されることなくより鮮明な画像が得られることから、心臓の中にできた血栓(血の塊)の有無や、弁膜症の詳細な評価を行う場合にはきわめて有用な検査です。
検査を受けられる方へ
(注意事項)
- 検査中の苦痛をとる目的で、鎮静剤を用いることがあります。この薬を使用した場合には、お酒に酔ったような状態になったり、頭痛や呼吸状態の変化がおこる場合があります。そのため院内で休んでいただき、当日の運転はお控えください。点滴をして検査を行います。
- のどや食道に病気のある方は検査を受けられません。検査前4時間は飲んだり食べたりしないでください。
- 検査後は麻酔の効果がなくなるまで、1~2時間程は飲んだり食べたりできません。