リハビリテーション科
職場使命
障害があってもいきいきとした生活ができるよう地域の中で援助する
業務紹介
理学療法士(PT)30名・作業療法士(OT)22名・言語聴覚士(ST)8名の合計60名(2023年4月現在)の職員が在籍しています。
病院ではICU/HCUの急性期から地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟など亜急性~回復期まで、そして退院後については、法人内の在宅事業所リハビリ職員と連携を取りながら、患者さんの社会復帰に向けてリハビリテーションを切れ目なく提供しています。
また、地域での転倒予防教室や認知症予防教室へ講師を派遣し、今後の地域包括ケア時代に向け地域に根ざしたリハビリテーションを展開しています。
回復期リハビリ病棟での
リハビリテーション
365日体制でリハビリテーションを提供しています。対象は中枢神経疾患が6割程度、整形外科疾患・廃用症候群で4割程度となっています。病棟スタッフと連携して当院独自の環境整備(ベッドサイド手すりや道具の工夫)を行い、安全に日常生活の自立が出来るよう支援しています。
リハビリテーションでは立ち上がり練習を積極的に取り入れ、早期に日常生活が自立できるよう体力強化を図ります。 入院時や退院前に自宅訪問を行い、計画的にリハビリテーションを進めることで安心して退院できるよう取り組んでいます。 患者さんに装具が必要な場合は、医師・義肢装具士・リハビリ職員で協議をしながら患者さんに適切な装具を提供しています。
集団立ち上がり練習
調理実習
装具検討会
急性期病棟での
リハビリテーション
内科疾患、循環器疾患、整形外科疾患、消化器疾患、外科手術後、腎代謝疾患、呼吸器疾患など多様な疾患に対して、 専門知識を持った理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がリハビリテーションを提供しています。
内科疾患
(消化器、外科、腎代謝、呼吸器)
リハビリ場面
腎代謝・がん・呼吸リハビリテーションなど専門知識を持ったスタッフが急性期・入院早期から介入し、身体能力の低下予防や維持・向上を図り、治療終了後円滑に在宅復帰が出来るようリハビリテーションを提供しています。
循環器疾患
CPX(心肺運動負荷試験)の場面
心筋梗塞などの虚血性心疾患、心房細動などの不整脈や弁膜症疾患などに起因する心不全、心臓血管外科術後、閉塞性動脈硬化症などの血管疾患などに対し、心臓リハビリテーション指導士や心不全療養指導士などの資格を有するスタッフが、急性期から心臓リハビリテーションを提供しています。
必要な方には退院後も外来心臓リハビリテーションでのフォローを行っています。外来患者さんにはCPX(心肺運動負荷試験)での運動耐容能評価も行っています。
整形外科疾患
大腿骨近位部骨折や人工関節術後の方を中心に、整形外科疾患の急性期のリハビリテーションを行っています。
専門スタッフが極力痛みのないようにリハビリテーションを提供しています。
人工膝関節の
術後リハビリ
大腿骨近位部骨折
術後リハビリ
嚥下障害の評価
検査が必要な患者さんの選別や評価を、言語聴覚士が医師・看護師と協力しながら行っています
VF
(嚥下造影検査)
VE
(嚥下内視鏡検査)
ICU/HCUでのリハビリテーション
ICUでのリハビリ
早期離床リハビリテーションチームによるカンファレンスを実施。
医師・看護師・リハビリテーション職員が入院早期から廃用予防、ADL拡大のためのリハビリテーションを提供しています。
地域包括ケア病棟でのリハビリテーション
集団リハビリ
急性期の治療が落ち着いた患者さんがスムーズに在宅へ戻れるよう多職種で調整を行いながらリハビリテーションを提供しています。
緩和ケア病棟でのリハビリテーション
癌患者さんなどのターミナルケアが必要な方に対するリハビリテーションとなります。がんのリハビリテーション研修を修了した専門知識を持ったスタッフが対応しています。
リハビリ場面
スタッフ会議
外来でのリハビリテーション
整形外科疾患部門
整形外科のリハビリテーションに特化した専門スタッフを中心に、早期に障害の回復ができるようリハビリテーションを提供しています。
主な疾患 : 腱板断裂手術後および後遺症、人工膝関節術後、上肢下肢の骨折後 など
肩のリハビリ
超音波による物理療法
心臓リハビリテーション部門
急性心筋梗塞や狭心症、大血管手術後で二次予防を主な目的として心臓リハビリテーションを行っています。
1回1時間をかけ、有酸素運動や筋力トレーニングを専門知識を持ったスタッフが安全にリハビリテーションを提供しています。
リハビリ場面
運転技能検査部門
運動の専門知識を持った療法士による運転技能評価を行います。紙面上のテストや運転シミュレーターを用いて運転の安全性について検査をいたします。
検査場面
小児リハビリテーション部門
小児リハビリテーションでは小児の専門知識を持った理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が対応しています。
リハビリ場面
職員教育
学習会の様子
若手スタッフは、まず回復期リハビリテーション病棟でじっくり患者さんに関わりながら、専門知識・技術の向上、チームアプローチの基礎が学べるようサポートしています。
また、当院独自の新人教育プログラムにより、1~2年目で基礎~応用的な知識獲得のための学習を、3年目では自分の知識や技術、臨床推論などを後輩に伝えるためのトレーニング学習を進めます。2年目と3年目には1年間のまとめとして症例発表を行っています。
職員全体としては、キャリアラダーを基準として目標管理制度を作成し、毎年課題や目標をもって計画的に学習を進めています。また、スペシャリスト育成のため、「心臓リハビリテーション学会、肩学会」などの学会や研修会にも積極的に参加し、その伝達講習もおこなっています。
さらにジェネラリストの育成のために、各専門チームや在宅部門への職場ローテーションも導入しています。
新人教育プログラム
新人教育1年目学習会
獲得目標
指導や助言を受けながら主体的かつ能動的に学び、基本的なリハビリの実践ができる
担当症例の経過および考察をまとめて発表することができる
内容 | 獲得目標 | |
---|---|---|
総論① | バイタルサイン・フィジカルアセスメント | バイタルサインの意味が分かる フィジカルアセスメントを行うための手段を知ることができる |
総論② | 環境調整 | 環境整備を行う目的を理解できる ベッドサイドで使用する物品の名前を覚え、設置方法のポイントを知る 車椅子の調整方法について理解できる |
総論③ | 疼痛 | 疼痛のメカニズムの理解 評価(問診・視診・触診など)から臨床推論が行える |
総論④ | ADL | BIとFIMの違いを理解する FIMの評価が行える |
総論⑤ | シーティング | シーティングの基礎について学習し、適切な道具の選択と褥瘡予防・良肢位保持・機能改善を目的としたシーティングの実践ができる |
総論⑥ | 褥瘡とポジショニング | 基礎知識と評価(DESIGN-R)を学び、当院の褥瘡カルテについて知る ポジショニングの基礎について学習し、適切な道具の選択と褥瘡予防・良肢位保持を目的としたポジショニングの実践ができる |
総論⑦ | 認知症 | 出現している症状について専門用語を利用し表現することができる 患者に合わせた適切な評価方法を選ぶことができる 評価を利用し客観的に伝えることができる BPSDについて理解をし介護者への指導方法を知ることができる |
基本動作① | 起居~座位 | 寝返り・起き上がりのバイオメカニクスを知る |
基本動作② | 起立、移乗動作 | 起立動作のバイオメカニクス(関節モーメントと慣性力)と運動課題の理解 移乗様式と環境設定 |
基本動作③ | 歩行 | 歩行のバイオメカニクスと運動課題 (骨盤帯~足部のロッカー機能などを中心とした各相における運動連鎖の理解) |
中枢① | 全体像、疾患の特徴、脳画像 | 中枢疾患患者を理解するための脳や神経系の機能解剖をおおまかに把握する 当院での脳画像の見方を知る |
中枢② | リスク管理 (臨床でのバイタル、疼痛、動作介助など) |
危険予知トレーニングを体験できる リハ職に起こりやすいリスクを知ることができる |
中枢③ | 高次脳機能障害 | 高次脳機能障害に関連する脳の機能局在について大まかに知る 学術的に認知症との区別ができる 各症状について専門用語を利用し表現することができる 評価方法・客観的評価を行うことができ病期に応じた介入方法を知っている |
中枢④ | 姿勢評価・介入(臥位、座位) | 中枢疾患の姿勢の特徴を理解し問題点の抽出とプログラムの立案ができる |
中枢⑤ | 動作分析・介入 | 中枢疾患の起立や歩行の特徴を理解し問題点の抽出とプログラムの立案ができる |
中枢⑥ | パーキンソン 基礎~介入 | 症状を理解し適切な評価ができる プログラムの立案と実施、日常生活の指導が行える |
整形① | 大腿骨近位部骨折 | 近位部骨折の基礎知識の理解 当院で行われている術式と術後の流れ・臨床でのポイントを知る |
整形② | 膝OA | 保存治療の基本的な考え方を理解して臨床に取り入れることができる |
整形③ | 圧迫骨折・LSCS | 圧迫骨折:疾患の特徴と臨床でのポイントを理解し実践できる LSCS:病態の理解ができ患者の訴える疼痛の原因を推測できる |
ST① | 摂食嚥下 | 嚥下障害とそのリスクを学ぶ 当院の嚥下調整食を知る |
ST② | 失語症 | 失語症と構音障害の症状およびその心理と有効なコミュニケーション方法を学ぶ |
内部① | 循環器 | 循環器の特徴と解剖を理解し、よくある疾患について理解し対応方法を知る |
内部② | 呼吸器 | 呼吸器の機能解剖(気管支~肺胞を中心にガス交換機能) 呼吸器の評価(視診・触診・聴診) 典型的な臨床像を理解し応対力を獲得する |
内部③ | 消化器 | 消化器の特徴と解剖を知ることができる よくある疾患について理解し対応方法を知る |
内部④ | 糖尿病・代謝 | 糖尿病などの疾患の基本的な内容や特徴を知る |
その他① | 自動車運転の評価 | 脳卒中における医学的な運転評価の基本を知る |
その他② | 小児リハ | 小児リハの概要を理解する |
発表 | 症例発表 | 1年のまとめとして症例をまとめて各チーム内で発表(発表10分、質疑5-10分) |
新人教育2年目学習会
獲得目標
自ら指導や助言を仰ぎながら、個別性を考慮し専門性を発揮できる。
担当症例の経過および考察をまとめて発表することができる。
内容 | 獲得目標 | 形式 | |
---|---|---|---|
技術① | 松葉杖指導 | 臨床での技術力・対応力の向上 | 座学+実技など |
技術② | 重心動揺計 | ||
技術③ | 物理療法 (低周波、超音波、渦流浴など) |
||
技術④ | リスク管理 | ||
技術⑤ | 重介助レベル | ||
技術⑥ | ハンドリング① | ||
技術⑦ | ハンドリング② | ||
分野別① | 総合C | 各分野でのセラピストの 役割や働きなどを知る 自身のキャリアを考える |
分野別①-④ 座学+半日体験 |
分野別② | 総合A+4西 | ||
分野別③ | 総合B | ||
発表 | 症例発表 | 臨床の振り返り アウトプット |
30分/人(質疑応答含む) |
新人教育3年目学習会
獲得目標
基本的なリハビリの知識や技術を後輩へ伝える、指導することができる
担当症例の特徴や要点を捉えて分かりやすく伝える、発表することができる
内容 | 形式 | |
---|---|---|
アウトプット① | ミニ学習会 | 後輩(1-2年目)を対象 60分目安 座学、実技などの形式は問わない テーマの縛りなし(上席と要相談) |
アウトプット② | ||
アウトプット③ | ||
発表 | 症例発表 or 3年間の自分の振り返り |
2年目と同日開催 |
取得認定・専門資格一覧
資格 | 団体名 | 人数 |
---|---|---|
認定理学療法士(運動器) | 日本理学療法士協会 | 1 |
認定言語聴覚士 (摂食嚥下障害領域) |
日本言語聴覚士学会 | 1 |
心臓リハビリテーション 指導士 |
日本心臓 リハビリテーション学会 |
4 |
心不全療養指導士 | 日本循環器学会 | 2 |
3学会合同呼吸療法認定士 |
|
6 |
ICLSインストラクター | – | 2 |
実績
入院部門
疾患別 リハビリ件数 |
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
心大血管疾患リハビリ | 10,656 | 7,949 | 8,316 |
脳血管疾患リハビリ | 42,167 | 35,354 | 38,881 |
運動器疾患リハビリ | 18,520 | 16,589 | 16,759 |
廃用症候群リハビリ | 21,098 | 24,575 | 24,340 |
呼吸器疾患リハビリ | 7,260 | 7,741 | 7,650 |
合計 | 99,701 | 92,208 | 95,946 |
外来部門
疾患別 リハビリ件数 |
2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
---|---|---|---|
心大血管疾患リハビリ | 1,006 | 744 | 539 |
脳血管疾患リハビリ件数 | 1,649 | 1,007 | 1,089 |
運動器疾患リハビリ件数 | 7,176 | 7,380 | 7,255 |
廃用症候群リハビリ件数 | 47 | 26 | 49 |
呼吸器疾患リハビリ件数 | 97 | 73 | 88 |
合計 | 9,975 | 9,230 | 9,020 |