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経皮的冠動脈形成術(PCI)

  • 狭心症や心筋梗塞など動脈硬化が主な原因となり心臓の筋肉に栄養や酸素を運ぶ血管(冠動脈)が狭窄や閉塞することで起こる虚血性心疾患に対して行われる治療です。脚の付け根や腕、手首などの血管から、カテーテルという細い管を入れて、冠動脈の狭くなった部分をバルーンやステントで広げることで冠動脈の血流を正常に戻します。
    施術は局所麻酔下にて行うため冠動脈バイパス手術に比べて患者さんの体への負担が少ない治療です。

    緊急PCI

    心筋梗塞や不安定狭心症の進行による緊急PCIが行われる場合もあります。緊急PCIは急性心筋梗塞や不安定狭心症を発症した患者さんに対して来院後90分以内にPCIに行うことが適切とされています。
    経皮的冠動脈形成術(PCI)施工後と施工前の比較図

    画像出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス

  • 適応する疾患

    冠動脈疾患
    (狭心症・急性心筋梗塞)

  • 術前検査

    • ・血液検査
    • ・心電図検査
    • ・トレッドミル負荷試験
    • ・心臓超音波検査
    • ・心臓CT
    • ・心筋シンチグラフィー
    • ・冠動脈造影検査
  • 術中検査

    IVUS(血管内超音波検査)

    血管内に挿入したカテーテルの先端から血管の形状や狭窄部位の病変の大きさを測定するために手術中に行います。体の表面からの超音波検査では見ることができない細かな起伏まで観察できます。
    IVUS(血管内超音波検査)の図

    画像出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス

  • 治療方法

    経皮的冠動脈形成術(PCI)は局所麻酔による覚醒下にて行います。 カテーテルを血管内へ挿入するために事前に決定した穿刺部位へ穿刺します。穿刺の際の痛みを和らげるために局所麻酔を使用しますがその他大きな痛みを伴う処置はありません。 穿刺後はシース、ガイドカテーテルを挿入し造影剤を注入して冠動脈の狭窄部位や形状を確認します。ガイドワイヤー、治療用カテーテルを順次挿入し狭窄部位の拡張を行います。処置中は血栓予防のため抗凝固薬(血液が固まりにくくなる薬剤)を投与した状態で行います。
  • 治療の種類

    バルーン療法

    先端にバルーンがついたカテーテルを心臓の血管の細くなっている部分に挿入し風船を膨らませ血管を押し広げます。
    バルーン療法

    画像出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス

    ステント留置

    ステントと呼ばれる金属製のメッシュコイルをバルーンにより膨らませて血管の内壁に張り付けて(留置)血管を内側から支えます。
    PCIで使用するステントにはベアメタルステントと薬剤溶出ステントの2種類があります。
    ベアメタルステントは留置後より血管の傷を修復し始める生体反応によってやがて再狭窄を起こす可能性が20%程度あります。薬剤溶出性ステントはベアメタルステントの問題点を解決するために開発されました。ステントに細胞の増殖を抑える薬剤が塗布されており徐々に血管内で溶出していく構造で再狭窄率が3~7%ととても低く現在ではほとんどの症例で薬剤溶出性ステントが使われています。
    ステント留置

    画像出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス

    血栓吸引療法

    血栓が柔らかい場合に血栓を吸引・除去します。

    ロータブレーター

    カテーテル先端に、ダイアモンドの細かい粒を付着させた小さなドリルが取り付けられた器具で、ドリルが高速回転して石灰化した部分を削りとります。
    ロータブレーター

    画像出典:インフォームドコンセントのための心臓・血管病アトラス

    手術時間

    約1〜2時間

    ※手術室への入室から病棟へ帰るまでの時間

    麻酔

    局部麻酔

  • 入院期間

    約3日間

    入院 手術 集中治療室(ICU) 退院

    ※入院期間はあくまでも目安であり、患者さんの状態によって異なります。

  • 入院費用

    ※経皮的冠動脈形成術(PCI)は高額療養費制度が適応されます。費用は年収や年齢によって異なります。

    高額療養費制度について

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