レントゲンの体位には理由があります

レントゲンの体位には理由があります

2023年04月01日

レントゲン診断において、重力は重要な役割を持っています。体位によって、臓器や血液の位置が変わるため、画像の解釈に影響を与えるからです。たとえば、
 胸部レントゲン:通常は立ったまま撮影します。お腹の臓器が重力によって下側に引っ張られ、肺がより広がっている状態で観察ができるからです。一方で、胸水(肺にたまった水)は横向きに寝て撮影することで検出できます。
 腹部レントゲン:臥位の場合は、内臓がまんべんなく広がって、お腹の観察が容易になります。一方で、消化管穿せ んこう孔で漏れ出した腸内ガスは立位撮影で検出できます。 
 整形外科のレントゲン:たとえば膝し つ関節や腰椎の撮影では立位が多くなります。これは、関節のすきまの重力による変形を見ています。
 患者さんからすると、「具合が悪いのに立たせるのはなぜ?」と思うかもしれません。しかし、適正な体位の撮影に理由があります。病気発見のため、可能な範囲でご協力をよろしくお願いします。