外科
外科の特徴feature
現在本邦における最大の課題である「がん診療」、そけいヘルニアや胆石症といった生活に密着した外科疾患、そして、突然に見舞われる虫垂炎、腸閉塞、胆のう炎などの救急疾患。3つの領域の外科疾患に対して積極的に取り組みます。 また、社会的因子・スピリチュアルな因子もしっかり考慮した入退院支援事業を、長年作り上げてきた外科術前管理システムを土台に医療スタッフの総力にて展開させ、患者さんの立場に立った入院医療を行います。
主な疾患
がん疾患
肺がん、胃がん、大腸がん、甲状腺がん、乳がん、などの悪性腫瘍への手術治療を行っています。患者さんの状態に合わせ、化学療法やホルモン療法等の治療も行います。
そけいヘルニア
足の付け根(そけい部)の筋膜が弱くなったため、立った時など腹圧がかかった時に足の付け根がふくらむ状態です。ピンポン玉くらいの大きさのしこりやふくらみが現れることが多いようです。成人の場合男性に多い疾患ですが、女性にもみられます。 成人のそけいヘルニアは自然治癒することはないため、治療には手術加療が必要です。
胆のう炎(胆石症)
胆石により胆のうが傷み炎症を起こす病気です。症状は発熱や腹痛、肝機能障害、黄疸をきたす場合もあります。手術が必要な症状の場合には腹腔鏡を用いて胆のう摘出を行います。症状により消化器内科にて保存治療を行い、炎症が治まってから外科で手術を行うこともあります。
虫垂炎
「盲腸」とも呼ばれる病気で、虫垂という大腸の一部が細菌感染により炎症を起こす病気です。初期症状はみぞおちの痛みやお臍周辺の上腹部の痛みが出現し、その後右下腹部に痛みが移ります。発熱や嘔吐下痢等を伴うこともあり初期症状での鑑別が困難なこともあります。治療は点滴による薬物療法と手術があります。薬物療法ではしばしば再発することがあるため根治的な治療を目指す場合には手術により虫垂を取り除く必要があります。
腸閉塞・イレウス
腸管の内容物が通過できなくなる病気です。症状は腹痛や吐き気、おなかの張りなどがあり、激痛となる場合もあります。術後に起こる癒着や神経障害による麻痺、腸管の痙攣などが原因となります。治療はイレウス管というチューブを鼻から入れる方法や手術による通過障害の解除があります。
消化管穿孔
消化管(胃や腸)の壁が何らかの原因で穴が開いた(穿孔した)状態のことです。消化管の内容物(消化液や食べ物、便など)が腹腔内に漏れ出てしまい、炎症を引き起こして激しい痛みが生じます。手術による治療が必要で、一般的に緊急で手術を行う病気です。原因は外傷や異物、消化管潰瘍、炎症、絞扼性イレウス、がん等があります。
甲状腺腫瘍(良性・悪性)
甲状腺にできる腫瘍で、良性のものと悪性のものがあります。血液検査や超音波検査、CT、細胞の検査を行うことで診断を行います。悪性の場合には手術が必要となります。また、良性でも腫瘍の大きさや甲状腺モルモンの過多などによっては手術が必要となるケースもあります。
膿胸
肺炎が悪化して、肺の周囲に膿が溜まっている状態をいいます。高齢者や抵抗力が低下している人が肺炎を悪化させてしまった際に発症しやすい疾患です。主に倦怠感、高熱、咳、痰といった症状が現れます。胸に管を入れて膿を吸い出す治療や、肺の周囲を洗浄する手術が必要になります。
口の中の細菌が原因となることが多いので、こまめな歯磨きによる口腔ケアや虫歯治療などが予防策として推奨されています。
気胸
肺の表面に突然穴が空いて、空気が漏れ、肺がしぼんだ状態をいいます。特に若くて細身、高身長の男性にみられることが多い疾患です。高齢者の場合は、喫煙習慣や栄養不良が起因すると考えられ、発症すると突然の胸の痛み、息苦しさ、咳などの症状が現れます。進行すると重症化し、生命の危機に陥る可能性もあるため、早めの治療が必要です。
胸に管を入れてしぼんだ肺を膨らませる治療や、肺に空いた穴をふさぐ手術が必要になります。
主な検査・設備
CT
CT(Computed Tomography)検査はX線を利用して、身体を透過したX線の量をデータとして集めて、コンピュータで処理することによって、身体の断面画像を得る検査です。普通のレントゲン写真よりもより細かく体内の情報を得ることができます。現在多くの施設で実用化されている装置はマルチスライスCTと呼ばれ、短時間で広範囲を細かく撮影することができます。 それにより立体的な画像(3D画像)も容易にできるようになりました。 また、病変を詳しく調べるために腕の静脈からヨード造影剤という薬を注射しながら撮影をすることがあります。
MRI
MRI検査は、磁石と電波を用いて検査しています。病変と周囲の臓器の関係を細かく観察するために行います。装置の特性から、強い磁石による金属の吸引・磁場の変動による神経刺激・電波による発熱(やけど)への注意が必要です。また、非常に動きに弱い検査となっています。
MMG
マンモグラフィは、乳房を2枚の板に挟んで圧迫し、乳房X線撮影を行う検査です。
少ない放射線量で、乳腺や病変をはっきりと写し出すために圧迫して撮影を行います。個人差はありますが、圧迫による痛みを伴います。
検査内容によって撮影方法が異なる場合がありますがMLO(内外斜位撮影)・CC(頭尾撮影)撮影が一般に行われています。MLOは乳腺全体を描出するのに優れ、MLOで写しにくい部分をCC撮影で補っています。
気管支鏡
口から気管の中にカメラを入れて気管や気管支、肺の観察行い、組織や細胞の採取を行う検査です。肺がんの診断や、感染症の診断ができます。
エコー
超音波(エコー)検査とは超音波を利用して体の内側を画像化する検査です。乳腺、甲状腺、心臓、肝臓など、特定の臓器を細かく観察するために行います。心臓や消化器のような臓器だけでなく筋肉や靭帯・腱の損傷、血管内の血液の流れる方向やその速さを観察することもできます。人体に無害で比較的簡便に受けることができる検査ですが、ガスや骨があると描出が困難となります。
主な治療方法
腹腔鏡手術
おなかの中を見るカメラをお臍に差し込み、下腹部に3~4か所5mm~1cmの小さな穴を空けて器具を入れます。カメラで映し出されてた病変部をモニターで確認しながら手術を行います。 傷が小さいため開腹手術よりも体への負担が少なく回復も早くなります。
胸腔鏡手術
患者さんにやさしい「低侵襲手術」として、近年肺がん治療に大きな役割を果たしています。胸部に 1~ 3cm の穴を 3 か所に空け、1つの穴から胸腔鏡を挿入します。胸腔鏡によって映し出された内部の様子をテレビモニターで見ながら、他の 2 つの穴から挿入した手術器具を操作して手術を行います。肋骨を切断しないなど、身体への負担が最小限ですむため、術後の痛みや体力の低下が少なく、回復も早い手術といえます。
化学療法(薬物療法)
薬物療法とは飲み薬や注射などで投与された抗がん剤が、血液を介して効果を発揮する全身治療のことを言います。
抗がん剤治療の目的は、がんを治癒させること、がんの増殖を抑え、延命効果を得ること、がんが原因と考えられる症状を和らげること、生活の質の改善など様々です。
がんの薬物療法は日々進歩しており、細胞が分裂して増える過程に作用する昔ながらの殺細胞性抗がん剤の他、ここ数年は、がん細胞の中の増殖や転移に関係している遺伝子を狙い撃ちする分子標的薬といわれる新しいタイプの薬も発売されています。また2014年には、まったく新しいタイプの免疫療法の一種である免疫チェックポイント阻害剤が発売されました。これらの薬物を効果的に組み合わせて治療することで、治療効果が飛躍的に高くなったがんの種類もあります。
薬物療法の進歩によって、入院期間の短縮や副作用の軽減など、患者さんの身体的、精神的、そして経済的な負担が抑えられるような治療法が増えています。
医師紹介
片桐 忍(かたぎり しのぶ)
外科部長
2013年卒
資格
- 日本外科学会認定医、外科専門医
- 日本乳癌学会乳腺認定医
- 日本乳がん検診精度管理中央機構
乳がん検診超音波検査実施・判定医 - 日本乳がん検診精度管理中央機構
検診マンモグラフィ読影認定医 - 日本呼吸器学会呼吸器専門医
- 日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医
- 肺がんCT検診認定機構肺がんCT検診認定医
所属学会
- 日本外科学会
- 日本臨床外科学会
- 日本胸部外科学会
- 日本乳癌学会
- 日本呼吸器学会
- 日本呼吸器外科学会
- 日本肺癌学会
- 日本内分泌外科学会
- 日本呼吸器内視鏡学会
- 日本消化器外科学会
- 日本甲状腺学会
彈塚 孝雄(だんづか たかお)
副院長 医療安全管理室室長
1985年卒
資格
- 日本外科学会認定医、外科専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医、指導医
- 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本乳がん検診精度管理中央機構
検診マンモグラフィ読影認定医
所属学会
- 日本外科学会
- 日本消化器内視鏡学会
- 日本消化器外科学会
- 日本呼吸器外科学会
- 医療の質・安全学会
角岡 信男(つのおか のぶお)
1996年卒
資格
- 日本外科学会指導医、外科専門医
- 日本胸部外科学会認定医・専門医
- 日本呼吸器外科学会専門医・評議員
- 日本呼吸器外科学会胸腔鏡安全技術認定医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医
所属学会
- 日本外科学会
- 日本胸部外科学会
- 日本呼吸器外科学会
- 日本内視鏡外科学会
- 日本臨床外科学会
- 日本肺癌学会
- 日本胸腺研究会
成田 淳(なりた じゅん)
南長池診療所所長
1986年卒
資格
- 日本外科学会認定医、外科専門医
- 麻酔標榜医
- 日本クリニカルパス上級指導者・評議員
所属学会
- 日本外科学会
- 日本消化器外科学会
- 日本臨床外科学会
- 日本クリニカルパス学会
- 日本医療マネジメント学会
- 日本診療情報管理学会
- 日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
- 日本ヘルニア学会
荒井 沙紀(あらい さき)
2022年卒
資格
所属学会
診療実績
消化器
疾患名 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
胃癌 | 16 | 13 | 9 |
大腸癌・直腸癌 | 59 | 24 | 23 |
胆石症・胆のう炎 | 58 | 28 | 33 |
虫垂炎 | 43 | 33 | 34 |
ヘルニア(そけい、腹壁など) | 121 | 94 | 98 |
直超脱・痔核 | 8 | 0 | 5 |
その他 | 24 | 16 | 2 |
呼吸器
疾患名 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
肺癌 | 8 | 26 | 23 |
縦隔腫瘍 | 3 | 0 | 1 |
気胸 | 8 | 6 | 4 |
その他 | – | – | 5 |
乳腺・甲状腺
疾患名 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
乳癌 | 16 | 21 | 25 |
甲状腺腫瘍 | 7 | 15 | 4 |
その他
疾患名 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
中心静脈ポート増設・抜去 | 31 | 22 | 29 |
皮膚皮下腫瘍 | 15 | 13 | 13 |
膿瘍ドレナージ | – | – | 8 |
リンパ節生検 | – | – | 3 |